腸内細菌は私たちが摂り入れた食物のうち、腸まで届いた残渣をエサとして生命活動を行なっています。食事は私たちの栄養源であるとともに、腸内細菌のエサでもあるのです。ですから何を食べるかによって、善玉菌を育てるか?悪玉菌を育てるか?が変わってきます。善玉菌はオリゴ糖や食物繊維をエサに生命活動を営んでいます。よい腸内フローラづくりには、消化されずに腸まで届く難消化性オリゴ糖や食物繊維の摂取が欠かせません。
オリゴ糖や食物繊維は健康食品で補うこともできます。しかしながら食物繊維とは言っても、セルロース、イヌリン、ペクチン、グアガム、アラビアガム、難消化性デキストリン、マンナン、寒天など様々な種類があります。それを健康食品だけで補うというのは現実的ではなく、あくまで食事こそが主役だと考えています。
主食は食事の中で摂取カロリーの50%を占めています。それに主食は炊飯器で炊くだけなので、最も食物繊維を摂り入れやすいといえます。ここに善玉菌のエサである食物繊維が含まれているかは、大きく腸内環境に影響を及ぼすはずです。そのため私は現在、主食と腸内フローラの関係を検証しています。良好な腸内フローラを築くことのできる主食を明らかにしたいと考えております。方法としてしては、玄米、五分つき米、胚芽米、精白米、雑穀米など一定期間主食を変えながら腸内フローラ検査を行なっています。
お米は精白度合いによって玄米→三分搗き→五分搗き→七分搗き→精白米と、糠・胚芽(食物繊維)含有量が減少します。つまり腸まで届く腸内細菌のエサが減ってゆくということです。これが腸内フローラにどのように影響が出るか?
22年夏~22年11月30までは(五分搗き米)を食べていました。
22年12月1日から23年2月15日までの2か月半は、糠・胚芽(食物繊維)の残っていない精白米を食べ続けました。
主食における食物繊維含有量が減りました。このことで私の腸内フローラはどのように変化するのかが焦点でした。
腸内フローラ検査を22年12月1日と23年2月15日に行ないました。
23年2月15日の採便時には、体感的には明らかに”悪くなった”と感じました。排便の回数が減り、量も減り、色や臭いも悪化が感じられました。体感的に悪くなった点が、データとして表れるか?に注目しました。悪くなるだろうことを想定して、検査を行ないました。
2月15日の検査の結果では以下の点で大きな腸内フローラの変化が認められました。
変化のポイントは≪長寿菌≫と呼ばれるビフィズス菌とフィーカリバクテリウムが、大きく減少していたことです。またプロテオバクテリア門のサテレラというどちらかというと悪玉菌が増加していました。この傾向からすると、主食を五分搗き米から精白米に変えたことで、腸内フローラは悪化したといえそうです。
今回ビフィズス菌、フィーカリバクテリウム、ブラウティアと、いずれも重要な善玉菌が大きく減少したことは、米胚芽、米糠摂取量の減少と関連性があるのでしょうか?。もし関連があるのであれば白米から5分搗き米や玄米に変えるだけで、ビフィズス菌、フィーカリバクテリウム、ブラウティアが増えると言えるので、「玄米(3分搗き米、5分搗き米)を食べるだけで善玉菌を増やせる!」が証明できることとなります。
ビフィズス菌は大腸における善玉菌の代表格であり長寿者に多く長寿菌と呼ばれています。
フィーカリバクテリウムは長寿者に多いことが知られ、免疫と抗炎症に関わるといわれる注目の酪酸菌(らくさんきん)です。これらが少なくなることは、免疫力、感染防御力に関わっています。
ブラウティアは日本人に多い菌で、特に内臓脂肪が少ない人に多い菌です。早稲田大学らの研究では肥満や糖尿病を予防できる可能性があると報告されています。
今回だけではデータ不足なので、今後も検証してゆこうと思います。