腸内細菌は私たちの食べた食事のうち未消化で大腸まで届いた残渣(残りかす)を食べています。
私たちが食べた食事のうちデンプンや砂糖など消化吸収のしやすいものは、小腸から吸収されて私たちの栄養となります。消化しきれずに吸収できなかったものは小腸を経て大腸に流入します。実はこの未消化物こそ大切な腸内細菌のエサになるのです。もし私たちの食事が100%完全に消化吸収されたとしたら、腸内細菌のエサは、私たちの消化管内のはく離した細胞(髪の毛やお肌でもフケやアカが出ますね)や腸の粘液を食べるしかなくなってしまいます。
特に善玉菌のエサとなるのは、食物繊維やオリゴ糖です。糖類であれば砂糖であってもブドウ糖(グルコース)であってもエサとなります。しかしながら砂糖やブドウ糖など小さくて消化吸収の良い糖質は、100%吸収されて私たちの栄養となってしまいます。腸内細菌が棲んでいる部位は大腸です。そう消化吸収しやすい糖質は、腸内細菌の元までは届かないのです。そのため同じ糖質の中でも、私たちには消化吸収ができない糖質、つまり食物繊維やオリゴ糖が腸内細菌のエサとなるということなのです。
ところが現代人は食物繊維の摂取量が、戦前から比べると下がり続けています。主食であるごはんやパン、パスタ、麺類は、精白されおいしくて吸収しやすい糖質に変化しています。これでは私たちにとっては栄養になったとしても、腸内細菌にはエサが届かないということになるのです。
実は精白によって失われた粕にこそ、腸内細菌のエサが含まれているのです。腸内細菌を育てるためには、食物繊維を含んだ野菜や未精白穀物を摂取することが大切です。