脂質は摂り方次第で大きな老化の原因となる
玄米菜食で動物性食品を食べないことは、腸内環境だけでなく「脂質」の摂取からみても大きなメリットがあります。
老化の2大原因は、酸化と糖化です。体内老化を防ぎ病気にならないためには、酸化と糖化を防ぐことが第一で、基本中の基本です。その酸化害のなかで最も代表的なものが、脂質の過剰蓄積による過酸化脂質です。体内に過酸化脂質が増えると酸化の連鎖がおき、次から次へと体内が酸化されてゆきます。つまり脂質の過剰な体内蓄積は、体内老化の大きな原因となるのです。
動物性食品というのは、脂質の大きな供給源となります。そのため動物性食品の摂りすぎ=脂の摂りすぎと考え、節度を持たなくてはならないのです。逆に植物は油脂の含有量が少ないですから、しっかりと考えて食べないと玄米菜食においてどちらかというと脂質不足に陥りやすいのです。当然脂質過剰にはなりにくく、過酸化脂質による酸化害の連鎖が起きにくいといえるでしょう。
そして脂質の摂取においては量だけでなく、質に関しても吟味しなくてはなりません。動物性油脂と植物性油脂とでは、構成している脂肪酸の組成が異なります。動物性食品を食べないことは、油脂の質がよくなります。つまりサラサラ血液になったり、炎症をとってくれたりと、良い油を摂取しやすいのです。肉、卵、牛乳など動物の脂は、植物や魚の油脂に比べて融点が高く塊になりやすい脂です。融点というのは溶けて液体になる温度のことです。動物性食品ばかり食べているとドロドロ血液になりやすく、植物や魚から得られる脂質は、炎症をとりサラサラ血液になりやすいのです。
動物油の融点
バターの融点は32.2℃で、牛脂の融点は44.0℃、豚脂は30.5℃。融点が高いということは、固まりになりやすいということです。牛脂など融点が高いですね。牛脂ばっかり食べていると、ドロドロ血液になりやすいのです。
植物油の融点
大豆油の融点は16.0℃、綿実油はー1.0℃です。しそ油、えごま油に含まれるαーリノレン酸の融点はー11.0℃、オリーブ油に含まれるオレイン酸は14.0℃です。動物性油に比べてかなり融点が低いです。サラサラ血液によいです。
魚油の融点
魚脂の含まれるエイコサペンタエン酸(EPA)はー54.1℃、ドコサヘキサエン酸(DHA)-78.0℃です。魚というのは冷たい水の中を泳いでいるので、すぐに固まってしまう脂では困ってしまいます。魚の脂はなかなか固まらないんです。だからサラサラ血液といわれているのです。
動物性食品を食べないことは血液にとってもよい
動物性食品を食べすぎるとドロドロ血液になりやすいので、循環器系疾患や脳疾患など病気のリスクはアップします。玄米菜食では動物性食品を食べないので、このリスク低減効果は大きいと思います。
魚を食べないのは解せない
しかし問題は魚です。アメリカの久司マクロなど一部の流派では魚はOKということになっていますが、魚も食べないというのはいかがなものでしょう。魚の油は、サラサラ血液になるということでサプリメントや薬にもなっているくらいです。私自身は魚を食べないというのは全く解せません。魚は塩分に気を付けながら食べたほうがよいと思います。
腸内環境をよくして酸化害を防ぐ玄米菜食
以上玄米菜食(マクロビオティック)で動物性食品を食べないことは、(1)腸内腐敗を防ぎ良い腸内フローラを維持することと、(2)脂質の酸化害を防ぎサラサラ血液を維持するという2点において、病気リスクの低減に大いに寄与していると思います。
しかしながらそうは言っても、動物性食品に含まれるたんぱく質と植物性食品から摂取できるたんぱく質との間ではアミノ酸組成が異なります。また脂質でも脂肪酸組成が異なります。そのため全く食べないというのは解せませんで、特別な事情がない限り少しは食べたほうがよいのではないかと思います。特に魚など健康に良いことがわかっているのですから、それを避ける意味がどこにあるのでしょうか。
次回に続きます