私たちの腸内には1000種類以上、100兆~にもおよぶ腸内細菌たちが棲んでいます。これらは便宜的に、善玉菌、悪玉菌、日和見菌に分けることができます。
善玉菌とは
善玉菌というのは腸内で私たちの役に立つ作用をしてくれる細菌で、ビフィズス菌や乳酸菌が代表です。フィーカリ菌やコプロコッカス、ロゼブリア、ラクノスピラ等のような酪酸菌も善玉菌です。その他アッカーマンシア、コリンセラ、アナエロスティペス、ブチリシコッカスなどの有用菌もいます。
悪玉菌とは
悪玉菌というのはそれとは逆に私たちの健康を阻害する働きをする菌で、ウェルシュ菌や、大腸菌、ブドウ球菌、緑膿菌などの腐敗菌群を指します。
日和見菌とは
そして善でも悪でもない菌も存在していて、日和見菌といいます。腸内で大多数を占めるのは日和見菌です。どっちつかずで腸内の環境次第で善玉菌の味方にもつけば、悪玉菌の味方にもつくのです。バクテロイデスやユウバクテリウム、クロストリジウム菌などが該当します。
善玉菌が優勢の良い腸内フローラとは
7割が日和見菌ですから残りの3割を、善玉菌が優勢か?悪玉菌が優勢か?で腸内環境の善し悪しが決まります。つまり正確に言うと善玉菌:悪玉菌が 1.5:1.5であればイーブンであるわけですから、善玉菌がそれを上回っていれば良いということになります。一般的には善玉菌:悪玉菌が2:1と言われています。そうすると残りの7割は善玉菌のほうになびくということです。
悪玉は必ずしも極悪ではない
となると「悪玉菌は0のほうがいいんじゃない。」なんて思われる方が当然いるはずです。ところがそう簡単なものではないのです。実は善悪を決めたのは人間のエゴからであって、この菌は私たちの生存にとって役に立つから、善玉という具合に勝手に分類したものです。ところが腸内細菌たちは腸の中で100兆以上のコミュニティーを作って、お互いに縄張りをもって生活しているわけで、いわば持ちつもたれつの関係性でもあるわけです。
ピロリ菌には有益な面もある
そして例えば通常はこの菌は私たちにとって悪玉だと思われていた菌が、「実はこんなところで私たちに役立ってたんだ。」なんて発見もあるのです。
その一例を言うと、胃癌の原因になるとして極悪視され除菌対象となっているピロリ菌。欧米諸国でピロリ菌を除菌した人たちもしくはその子供たちに、喘息やアレルギー疾患など新たな病気を患ってしまうことが増えているというのだ。ピロリ菌には実は免疫バランスを最適に保つ働きがあるらしいのです。ピロリ菌は人の体内で何万年もの間存在し続け進化してきた菌ですが、それをわずか数十年の間で除菌して根絶してしまおうという。いくら科学技術が進化したといっても人の都合で勝手に除菌してしまうと、生態系を変えてしまうような大きな歪みが生じてしまうのではないかと危惧するのです。
悪玉菌は0にはならない
それなので善玉菌が優勢の良い腸内フローラとはいっても、善玉菌が比較的に多くなるだけであって悪玉菌は0にはなりませんし、それは至極当然なのです。