腸内細菌は人体常在菌のなかの一つに過ぎない
「腸内細菌」という言葉が独り歩きするようになると、腸の中にだけに細菌が棲んでいるような印象を持たれませんか?実は細菌というのは腸のなかだけでなく、皮膚にも、口の中にも、膣の中にも至る所に澄んでいるのです。棲んでいるということは常在しているということになります。それなので人体常在菌といいます。腸内細菌はその人体常在菌の中の一つのカテゴリーになります。
口の中から食道を通るまではある程度の菌が棲んでいます。ところが胃に入ると強力な殺菌力のある胃酸の影響で途端に菌数が少なくなります。ピロリ菌などごく一部の菌しか生存できません。
大腸で生菌数は最多となる
ところが十二指腸から小腸上部に入ると、アルカリ液で中和されるため生菌数が増えてきます。小腸下部になると更に生菌数が増えて、大腸に入ると一気に増えてその生菌数は最多に達します。もともと小腸にはそれほど多くの腸内細菌が棲んでいるわけではなく、一般的に私たちが腸内細菌というのは大腸内細菌のことを指します。小腸は長さが6~7mで、大腸は1.5m程度と言われておりますから、大腸のほうが圧倒的に短いわけです。その短い中に最多数の細菌たちが棲んでいるのです。
SIBO(小腸内細菌増殖症)が増えている
ところが現代では、本来あまり細菌の棲んでいないははずの小腸内で大腸内細菌が異常に増殖してしまう、SIBO(小腸内細菌増殖症)という病気が増えています。SIBOは過敏性腸症候群との関連性が指摘されておりますので、現代人にとって重要な問題です。