• 腸内環境-温熱-食事療法-腸活-温活に取り組み30年以上 グリーンポプリ株式会社代表後藤洋のブログ 理想的な腸内フローラを目指して実践を続ける

プレボテラと食生活の文明化~バクテロイデスと食生活の文明化

腸内細菌叢における菌組成のタイプ グリーンポプリ ポプリ健康法

 

バクテロイデス型は欧米 プレボテラ型は発展途上国

バクテロイデスとプレボテラとの関係において、世界的に見るとバクテロイデスは欧米、中国など先進国の人で多く、プレボテラはアフリカや南米、東南アジアなど発展途上国の人の腸内に多い傾向があります。

日本人はバクテロイデス型が多い

日本人にはバクテロイデスが多く、プレボテラ型との比較において日本人の80~90%はバクテロイデス型だという調査があります。

バクテロイデスとプレボテラそれぞれのエサ グリーンポプリ ポプリ健康法

バクテロイデスは贅沢な細菌 都市化との関連性も

 バクテロイデスは動物性脂肪やたんぱく質食と関連付けられています。つまり肉や卵など欧風の贅沢な食生活を送ることで増える細菌です。

 都市化とともにプレボテラが減少して、バクテロイデス属やルミノコッカス属が増えてゆくという報告もあります。日本人にバクテロイデスが多いということは、都市化とともに食生活が欧風化したということなのでしょうか。

日本人も昔はプレボテラが多かった

 プレボテラは”米食、菜食、糖質や食物繊維の摂取の多さに関係する”といわれています。プレボテラが多いのは発展途上の地域です。日本人も昔はプレボテラが多かったのではないか?と考えられています。高度経済成長と食生活の欧米化とともに腸内細菌が変わってきたといわれているのです。

食物繊維からもエネルギーを作りだすことのできるプレボテラは食糧事情が悪い環境下では重宝する腸内細菌

プレボテラは食物繊維という本来であればエネルギーとはなり得ない、カスのようなものからエネルギーを産み出すことのできる細菌です。私は父から”終戦後は雑草や芋蔓を食べて食いつないでいた”と聞いています。終始カロリー不足で何からもエネルギーを得られない状況のなかでは、雑草からでも芋蔓からでもエネルギーを産み出すことのできる、プレボテラのような細菌がお腹の中にいると重宝するのでしょう。それに食物繊維しかお腹の中に入ってこないので、それを代謝して栄養に変えることのできる細菌が増えるのは当然のことといえます。食糧事情に乏しい地域では肉や油などは入ってこないので、バクテロイデスも増えることができないのでしょう。

バクテロイデスとプレボテラそれぞれのエサと都市化・文明化 グリーンポプリ ポプリ健康法

文明が進んだ地域(都市部)では飽食となり、肉や油の摂取量も増えカロリー不足に陥ることもなくなります。むしろ摂取カロリーの過剰が問題となります。このような環境の中では、わざわざ食物繊維からエネルギーを産み出すプレボテラなど必要ないでしょう。

玄米菜食者の81%がバクテロイデス型

玄米菜食者と対象群の腸内フローラの比較 バクテロイデス型とプレボテラ型 玄米菜食者の80%がバクテロイデス型 グリーンポプリ ポプリ健康法
玄米菜食者と対象群の腸内フローラの比較 バクテロイデス型とプレボテラ型 玄米菜食者の80%がバクテロイデス型 グリーンポプリ ポプリ健康法

では動物性食品は摂取せずに食物繊維を多く食べていたら、プレボテラが増えてバクテロイデス型ではなくプレボテラ型になるのか?。実は玄米菜食者群と対照群(そうでない群)の腸内フローラを調べたある調査では、玄米菜食者の約81%がバクテロイデス型(プレボテラ型との比較において)だったのです。そうでない群が85%バクテロイデス型だったので、それよりは少ないとはいうものの81%がバクテロイデス型だったという貴重なデータがあります。

玄米菜食者の腸内フローラ 玄米や野菜など食物繊維しか食べていないのにバクテロイデス型が80%って? グリーンポプリ ポプリ健康法

 実際私は幼少期から玄米菜食であり、今現在も穀物野菜中心の食生活で、肉などの動物性食品は5~10%程度でかなり少ないです。となると米食、菜食、糖質や食物繊維の摂取と関係のあるプレボテラが増えそうな気がしますが、私の腸内フローラにおいてはバクテロイデスが20~30%を占める最優勢菌で、バクテロイデス型です。本当にプレボテラと米食や食物繊維食と関連があるのか?と疑っちゃいますね。

バクテロイデス属菌の増加はタンパク質、脂質の摂取と都市化が関係 グリーンポプリ ポプリ健康法

「腸内フローラ検査」の口コミ

そしてこのように疑っちゃうのは、私一人のことではありません。腸内フローラ検査のレビュー(口コミ)を見てみると、「分析結果が当てにならない。」という声が結構ありますね。もしあなたが完全玄米菜食者であって肉を1gも食べていない人であったとしても、バクテロイデスが多かったというだけで動物性タンパク質や脂質食と紐づけられ、「あなたは動物性タンパクや脂質を摂取する食習慣との関連が報告されています。」といった評価を頂くことになります。そうは言っても玄米菜食者の80%が、バクテロイデス型ですからね。そのため「なんていい加減な評価!」と思われる気持ちは理解できます。いくら「プレボテラが米食・食物繊維食で増えますよ。」と言われていたとしても、実際に腸の中ではそう理論通りにはいかないということです。

私の腸内フローラにおいてプレボテラと食物繊維摂取量との間でなんら相関はみられなかった

私もプレボテラと米食・食物繊維摂取量との相関に、「本当かよ!」と疑問を持ちました。そこで相関を調べるため玄米を食べたり、3分搗き米を食べたり、5分搗き米を食べたり、雑穀米を食べたり、精白米だけを食べたり主食の食物繊維量を変えて、プレボテラの推移をみました。結果的にお米の食物繊維とプレボテラとの間に、一切の相関性を見出すことはできませんでした。野菜の摂取量の多さもプレボテラとの間に一切の相関性を見出すことはできませんでした。つまり私の腸内において、プレボテラの増減と米食・食物繊維の摂取量との間に何ら関連性がみられなかったのです。

私の腸内フローラにおいて食物繊維の摂取量とプレボテラの増減との間になんら相関はみられませんでした グリーンポプリ ポプリ健康法

ということは食物繊維だけではなく、別のファクターも存在する可能性を考えました。私の食事は穀物野菜(食物繊維)が豊富で、動物性蛋白も脂肪もほとんど食べません。これだけではバクテロイデス型は変わらなかったのです。途上国の食事と比較して、戦中戦後の食事と比較して。そうか!いくら穀物野菜(食物繊維)が豊富だとは言っても、食生活的には豊かな食生活だよな。少ないながらも動物性食品も食べますし、油脂だって摂りますし、お菓子だって食べますし、ジュースだって飲みます。空腹過ぎて飢えているということがなく、お腹がすけばいつでもご飯やお菓子が食べられる環境にあるのです。カロリーに関しては常に満たされている食生活なのです。ここが重要なポイントなのではないでしょうか?

いくら穀物・野菜を豊富に食べていたとしてもいかに食物繊維の摂取量が多くとも、いつもでカロリー豊富な料理を食べることができるのです。グリーンポプリ ポプリ健康法
草の根しかたべられないというのと栽培した野菜を豊富に食べられるというのとでは意味合いが違うのかも グリーンポプリ ポプリ健康法

いくら未精白穀物・玄米を食べていようが、いくら野菜を多く食べようが、常に満たされた食生活であるということ。この食生活って先進国の食生活であって、豊かな食事なのではないかって。例えば戦中戦後のように、食べたくても食べるものが無かった、雑草や芋蔓しかなかった、カロリー的に圧倒的に不足していたという、貧しい食事とは似て非なるものだと思うのです。

プレボテラは満たされない食生活の中で増える菌なのではないでしょうか?

プレボテラというのは満たされない食生活のなかで増える菌なのではないでしょうか?貧しい食生活の中では当然、雑草や植物、木の実など食物繊維が中心となります。そしてもう一つ”常時エネルギー的に満たされていない”ということ。

食生活の文明化と関係があるのではないでしょうか?

だとしたならば私がいくら未精白穀物・玄米を食べようが、野菜を多く食べようが、プレボテラの増減に影響を与えない事実に合点がゆくのです。少なくはありますが動物性も食べていますし、油脂も食べています、それにお菓子だって食べていますので、エネルギー的には満たされた食生活です。仮に未精白穀物や食物繊維の摂取量が膨大に多かったとしても、甘いものや、動物性食品や、油脂などが供給されている限りは、バクテロイデスなど他の菌が増えて、プレボテラなど増える余地がないとは考えられないでしょうか?

プレボテラは不健康な生活に多い

ただその一方で「理化学研究所 瓣野特別研究所」のおなかケアプロジェクト(辨野義己著 「最高の腸活」)による以下のような報告もあります。

辨野義己先生によると、日本人の腸内細菌叢は大きく9つのパターンに分けられるそうです。その中でプレボテラ属菌を持っているのは腸内細菌パターンが特異な1つのグループだけでした。その集団の特徴は、中年の男性が多く、朝食を食べず、喫煙や、飲酒が習慣になっていて、野菜や海藻など食物繊維の摂取頻度は低いのに、揚げ物や炒め物、麺類、コンビニ総菜の摂取が多く、他のグループよりも肥満率が高いという特徴です。

プレボテラが多い人の特徴 辨野義巳著「最高の腸活」から引用 グリーンポプリ ポプリ健康法

つまりおおよそ不健康そうな生活習慣のなかに、プレボテラ属菌は見られるということなのです。これまでのプレボテラと食物繊維との関連性とは全く逆の調査結果です。

私はバクテロイデスとフィーカリバクテリウムが多い

揚げ物や炒め物、麺類、コンビニ総菜を、ほとんど食べない私の腸内フローラもバクテロイデス型で、プレボテラはほぼいません。ですから個人的にもこちらの結果のほうが納得がゆきます。

ちなみに先の辨野先生の分類で私はグループ6に正にピッタリ当てはまると思うのです。そのグループとは中年の割合が高く、女性が多いグループで、喫煙・飲酒の習慣は無く、パンよりもご飯を好み、野菜や果物の摂取頻度が高く、間食が多いという特徴をもっていて、バクテロイデスとフィーカリバクテリウムの割合が多いグループです。間食が多いという以外は全て当てはまります。

プレボテラが多いグループの特徴 野菜や海藻など食物繊維の摂取頻度が低い人 従来とは全く逆の調査結果 グリーンポプリ ポプリ健康法

でも「玄米菜食者の80%はバクテロイデス型(P型比)」という調査結果とは、符号しています。

プレボテラは口腔内の悪玉菌

上記とは別に、実際プレボテラ属菌は口腔内における悪玉菌として認識されており、歯周病、口腔がん、2型糖尿病、膣炎、関節リウマチ、自己免疫疾患など多くの疾患との関りが指摘されています。

プレボテラと疾患との関係 口腔がん 膣炎 関節リウマチ 糖尿病 しこ免疫疾患 グリーンポプリ ポプリ健康法

結論

結論として、プレボテラと米食文化・食物繊維との関連性は不透明であること。

そして日本人の腸内フローラを考える上でプレボテラは主役にはなり得ず、あくまでバクテロイデス、ビフィズス菌、ブラウティア、(フィーカリバクテリウム、ルミノコッカス、ユウバクテリウム)を中心に考えるべきだと考えます。