腸の長さというのは民族により異なっていて、腸内細菌叢も国ごとに個性があります。そして同じ国の中でも年齢や性別、地域ごとにいくつものパターンにわかれます。
人の腸内フローラ(腸内細菌叢)は1000種類以上におよぶ腸内細菌で構成されていますが、均等に勢力をはっているわけではなく、一部少数の強い菌が大勢をしめています。ですから大きな勢力を占めている菌で括ると、おおまかな特徴をつかむことができます。
腸内フローラにおいて大勢力を占める菌は、バクテロイデテス(属)、プレボテラ(属)、ビフィズス菌(属)、ブラウティア(属)です。これらの菌が腸内フローラの大枠を形作っています。
早稲田大学理工学術院先進理工学研究科の服部正平教授と東京大学大学院新領域創成科学研究科の西嶋傑博士課程学生らを中心とした、世界12カ国の腸内フローラの国別比較(2016年)において、日本人はビフィズス菌とブラウティア属菌、バクテロイデス属菌という3つの菌が多いことがわかっています。
また腸内フローラ検査機関であるMykinso調べによると、検体の中からバクテロイデスは99.90%検出されるということで、日本人の腸内で、所有者率・平均保有量ともに一番多い菌だということです。そしてブラウティアは99.4%が保有しているということでほとんどの人が持っていると言ってよいでしょう。ビフィズス菌も93.9%ということで、この3つの菌が日本人の腸内フローラを特徴づけていることがわかります。
一方のプレボテラ菌は58.50%ということで半数近くの人は持っていない菌だということがわかります。この結果も上記研究の結果「日本人はビフィズス菌とブラウティア属菌、バクテロイデス属菌という3つの菌が多い」の裏付けとなる結果だと言えるでしょう。
日本人の腸内にはバクテロイデスが多いのです。実際私の腸内フローラにおいて常にTOP3を占めている菌は、1バクテロイデス、2フィーカリバクテリウム、3ブラウティアです。健康食品を飲み過ぎるとドーピング効果でビフィズス菌がこの中に割り込んできますけれども、それは健康食品によるドーピング効果であって通常ではありません。
ここでまた食生活と腸内フローラとの関係に戻りたいのですが、バクテロイデス属菌は脂質やタンパク質の多い欧風の食生活、都市化と関連付けられています。つまりあまり健康そうな菌ではないですね。良い面もあるので≪日和見菌≫という扱いではあるのですが。
で私の食習慣は何度もお話しているとおり、米が主食です。小麦の摂取量はかなり少ないです。野菜は自家栽培したものが多めで、動物性食品は10%も食べないでしょう。という感じです。どう見てもバクテロイデスの好物は食べていないんですね。でも常にバクテロイデスがTOP。
だから私が≪腸内フローラ検査≫を行なうと、常に「あなたは動物性タンパク質や脂肪の摂取が多い食習慣との関連が報告されています」みたいな評価を頂きます。
ハンバーガーを食べるのは年に数回程度ですよ。それで動物性タンパク質や脂肪が多いって言われても。
腸内フローラ検査を行なった人のレビューや評価として、「腸内フローラ検査はインチキだ!当てにならない!」という文言が散見される理由の一つはここにあると、私は考えています。
日本人の腸内にはバクテロイデス属菌が多い(99.90%)のだから、≪腸内フローラ検査≫を行なうと、多くの方が「あなたは動物性タンパク質や脂質の摂取が多い食習慣」という評価を頂くことになるのです。
それに私はガリガリに痩せているのに、「F/B比が高いので太りやすい体質で、肉や動物性脂肪の多い食事に注意し、食事内容を見直して。」的に評価されたり。これは私の腸内における酪酸菌の多さが関わっているのですが。
「腸内フローラ検査は当てにならない!」と言われても仕方がないのかもしれません。
でもこれは腸内フローラ検査がインチキなのではなく、評価だけが間違っているのです。つまり腸内フローラに何菌が多いことがわかったとしても「何菌が多いからあなたは~だ。」と評価できるほどの根拠が未だ揃っていないということです。
こういうデータが全て外国人を対象としたデータであって、日本人には全く当てはまらないのではないかということ。そもそも欧米人と日本人とでは腸の長さが違うのだから、同じ細菌叢で比較できるわけがありません。
日本人の場合、日本人で集めたデータで評価すれば正確性が高くなってくるのではないでしょうか。