セリ(Oenanthe javanica セリ科セリ属)
中国薬膳名 水芹
セリ科植物はとても薬効が高く、薬用植物(漢方薬 アロマハーブ)の宝庫です。トウキ、センキュウ、ウイキョウ、ボウフウ、独活、ビャクシ、ゼンコ、サイコ、コウホン、アンジェリカ、チャービルなど挙げたらきりがありません。そのためセリそのものにも薬効があります。
セリの中国薬膳的薬効
【性味】甘、辛、涼
【帰経】肝、胃経に入る
【効能】清熱利尿、清熱涼血、降圧解毒、平肝
【適応症】リウマチ、神経痛、高血圧、高脂血症、食欲増進、去痰、利尿、緩下
セリは涼性の食品であり、陰陽で分けるならば陰性の食材ということになります。陰性というのは下げたり、冷やしたり、しこりをしぼませたりという方向性であり、決して「冷やすので体によくない」というニュアンスはもたないので、くれぐれも誤解のないようにしてください。
つまり涼性(陰性)というのは下げたり、冷やしたりという意味があり、ドロドロ血液などで血液が滞って熱(炎症)をもってしまった場合などに、血液の熱を冷まして流れをよくする働きがあるのです。リウマチというのは血液の滞りによって特に関節あたりに熱をもっている状態ですから、このように血液熱冷ましの食材がよいということになるのです。血液というのは過度なストレスによっても滞り、熱をもってしまうので、現代人にとっては必要な食材だと思います。またセリは肝臓や胃に良い食べ物です。「私は血液がドロドロだな。」なんて思われる方は積極的にセリを食べてみてください。
利尿や緩下作用
陰性というのは下の方向へ向かうという意味合いも持ちます。尿や便は下に下ってゆきます。逆に嘔吐は上へ向かいますね、これは陽性ということになります。つまり陰性の食べ物は、利尿といって尿を排出する働きや、緩下といって緩やかに便を下すというような効能も併せ待ちます。
セリの植生
セリは皆さまスーパーの野菜コーナーで売られているものしか見られたことがない方も多いかもしれません。実はセリというのは放っておいても勝手に野山に自生している植物です。うちの周りでも上記のように自生しています。このようなセリは野芹といいます。7~8月には白い花を咲かせます。
野セリを採集
野セリは簡単に採集することができるのですが、実は似たような植物で毒草がありますので十分な注意が必要です。というより慣れない方は採集しないほうがよいでしょう。ドクゼリというものもありますがそれほど形も似ていないもので、私が最も注意が必要だと思っているのが最近増えている帰化植物でセリバヒエンソウという植物です。
上記のように紫色の花がかわいらしい花なのですが、毒草です。セリと一緒に生えていたら非常に紛らわしいです。上記写真の中にセリバヒエンソウの後ろに、セリの葉っぱが写っているのがおわかりになりますか?
上記がセリバヒエンソウになります。
その他にも紛らわしい野草がいっぱい
そのほかにも地域によっては丁度同時期に、シャク(セリ科植物)やヤブジラミ(セリ科植物)、ヤブニンジン(セリ科植物)なども生えておりますので、間違えてしまうことでしょう。ただしこれらセリ科の植物たちはいずれも山菜や漢方薬として使用されておりますから、間違えたとしても問題はありません。特にシャクはアロマハーブでいうところのチャービルと近親で、食しても春菊のような爽やかな香りがあってとてもおいしい山菜です。