私自身、玄米菜食者の腸内細菌叢というものに、とても興味があります。「玄米菜食」というのは「健康食」として認知されています。「その腸内細菌叢はどのようなものか?」ということに興味があるとともに、長寿者の腸内細菌叢とともに健康づくりの一つの指標になると思います。
そうしたところ玄米菜食者の腸内細菌叢を調査した貴重な情報を、インターネット検索でみつけました。
シンバイオシス・ソリューションズ株式会社 調査・研究室様の、「【調査速報】会員(玄米菜食者)の腸内細菌叢の調査結果」という検索でてきます。NPO法人日本総合医学会会員の方々のご協力のもと、玄米菜食を継続されている方々の腸内細菌叢を調査したもので、玄米菜食を継続されている方々の腸内細菌叢と、測定機関が有する2万人のデータ(対照群)とを比較したものです。
腸内細菌叢というのは腸内細菌がバランスよく均等に存在しているわけではありません。バクテロイデス属菌が多かったり、プレボテラ属菌が多かったりと偏りがあります。そして腸内細菌叢において大きな勢力を占める菌によって、腸内細菌叢のタイプはバクテロイデス属菌が多い(B型)とプレボテラ属菌が多い(P型)に分けることができます。また(Bタイプ)をさらにバクテロイデス属の割合(多少)によってさらに3つのタイプに分けることができます(BI、BII、BIII)。
(注)他にも日本人の腸内にはビフィズス菌とブラウティア菌が多いです。
「【調査速報】会員(玄米菜食者)の腸内細菌叢の調査結果」を見ると、バクテロイデスとプレボテラとの比較において、対照群(一般の人)と玄米菜食群は81%がバクテロイデス型(B型)でした。プレボテラ型は19%です。
対照群ではさらにバクテロイデス優勢の傾向が強まり85%がバクテロイデス型でした。日本人の腸内はプレボテラとの比較では圧倒的にバクテロイデスが優勢なのです。
Mykinsoによるデータでも、日本人の腸内におけるバクテロイデスの優勢は変わりません。Mykinso調べによるとバクテロイデスは日本人の99.90%が持っている最優勢な菌であり、プレボテラは60%弱の人しか保有していない菌だということです。
またバクテロイデスはただ単に最優勢なだけではなくて、その占有割合もとても高いです。バクテロイデスを保有している人の平均保有割合は33.59%(Mykinso調べ)、つまり全腸内細菌の内33.59%がバクテロイデスということです。バクテロイデスを保有している人は、大量のバクテロイデスを保有している姿が見えてきます。一方でプレボテラを保有している人の平均保有割合は10.55%(Mykinso調べ)といいます。たとえプレボテラを保有していたとしても、バクテロイデスほどは多くないということになります。
ただ気になるのは、バクテロイデスとプレボテラは以下のように関連付けられている点です。
が指摘されています。
これではあたかも日本人の80%~90%が肉食みたいな印象を受けませんか?
それに玄米菜食者の81%がバクテロイデス型なわけで、玄米菜食者が肉など食べているはずないわけで、矛盾する結果だと思いませんか?
前述の通り日本人にバクテロイデスが多いというものの、世界的に見ると日本人の腸内におけるバクテロイデスの占める割合は少な目です。また日本人はビフィズス菌とブラウティア菌が多いという、特徴的な腸内細菌叢をもっています。日本人にバクテロイデスが多いとは言っても、欧米・中国と比べると、それでもバクテロイデスは少な目なのです。これこそおそらく日本人の和食(肉や油脂が少ない)という文化のおかげなのではないでしょうか。
さらにこの調査によると玄米菜食者の腸内細菌叢は、対照群に比べてバクテロイデスの割合が少ない人が多いといいます。まとめますと日本人の腸内にはバクテロイデスが少ない上に、玄米菜食を行なうとさらに少なくなるということです。つまり和食や玄米菜食文化で、バクテロイデスが減ることの証明となります。
このことは私の腸内フローラ検査の結果とも合致します。私の腸内においては、常にバクテロイデスがTOPで最優勢菌です。そういう意味で行くと、私の腸内は欧米人のタイプなのでしょう。バクテロイデスが最優勢の腸内細菌叢に関しては、これは食生活の問題ではなく、生まれつきのものだと思います。ただその占有割合は20%台であることが多く、日本人の平均保有割合33.59%(Mykinso調べ)よりも低く推移しています。私の食生活は、米食、野菜食中心で、動物性食品や油脂の摂取量が少ないので、バクテロイデスが少なめになっているのでしょう。
ただ私の腸内フローラにおいてもバクテロイデスの割合は常に増減しています。それはおそらく食事内容が一年を通じて一定ではないからだと思います。自身で栽培している野菜の収量次第で、季節によって野菜の摂取量が多かったり少なかったりとバラツキがあります。また健康食品をどれくらい摂取したのかでも、食物繊維の摂取量にバラツキが生じます。おそらく食物繊維の摂取量に伴い、バクテロイデスの占有割合が増減しているものと推察します。以下に私の腸内細菌叢の推移を図示します。
私の腸内細菌叢でバクテロイデスの増減の傾向を探ると、未精白穀物・野菜他(食物繊維)の摂取量が多い時ほどバクテロイデスが減る(少なくなる)傾向が見られます。未精白穀物、野菜、健康食品の摂取が少ない時ほどバクテロイデスは増えています。
それは何故か?
それはグラフの中に答えがあります。バクテロイデス以上に未精白穀物・野菜他(食物繊維)を好物とする菌がいて、それらが増えるために、バクテロイデスが減ってしまうということです。
未精白穀物・野菜他(食物繊維)が好物な菌とは、ビフィズス菌や酪酸菌群です。バクテロイデスが減った時には必ず拮抗的に、ビフィズス菌や酪酸菌群が増えているのがわかります。
2020年10月は健康食品(善玉菌のエサ)を大量に飲んでいましたから、ビフィズス菌とフィーカリバクテリウムが1位と2位を奪うほど増加していました。その影響で拮抗的にバクテロイデスが極端に少なくなっています。でも元々私の腸内はバクテロイデスが最優勢なのです。
2022年3月は健康食品も飲用していますので断定はできませんが、とても野菜を多く食べていたのでバクテロイデスが減ったのだと思います。
2022年12月にバクテロイデスが最も多くなっているのは、おそらく冬時期で野菜の収穫量が少ないために野菜の摂取量が減っていることが原因でしょう。健康食品も補っていませんでした。
以上により穀物菜食によってバクテロイデスが多少減少することは明らかなのではないでしょうか?