• 腸内環境-温熱-食事療法-腸活-温活に取り組み30年以上 グリーンポプリ株式会社代表後藤洋のブログ 理想的な腸内フローラを目指して実践を続ける

腸管免疫とパイエル板 M細胞による細菌の取り込み

小腸絨毛とパイエル板 グリーンポプリ
小腸絨毛とパイエル板 グリーンポプリ

 

 腸は約60~70%にもおよぶ免疫細胞が集結している、最大の免疫器官です。しかも腸では免疫細胞の訓練も行っています。大腸の長さは約1.5m、小腸の長さは約6~7mですから、面積に比して小腸により多くの免疫細胞が存在します。特に小腸の「パイエル板」という部位には多くの免疫細胞が集まっています。

 なぜ腸にはこれだけ多くの免疫細胞が待機しているのでしょうか。私たちが細菌やウイルス、異物を取り込むとしたら、その多くは、口や鼻経由です。胃酸でやっつけきれなかったものは小腸に到達し、そこから吸収されて血流にのってしまいます。その前に排除するために、小腸には多くの免疫細胞が集結しているのは道理にかなっているといえるでしょう。

非自己を排除するのが免疫

 もし外部から私自身以外(非自己)のもの、例えば細菌やウイルス、異物などが侵入してきた場合に、排除に働くのが免疫です。ひとこと細菌とは言っても、病原菌もいれば乳酸菌やビフィズス菌のように善い細菌もいます。ポイントはいくら乳酸菌やビフィズス菌であったにせよ、私のお腹の住人ではなく外部から取り込んだ細菌である以上、私自身以外(非自己)になるということです。

 もし私自身以外(非自己)のものが体内に入ってきたとしたら、まずそいつは「悪い細菌か善い細菌か」ということを判別しなくてはなりません。病原性をもった細菌であれば重篤な腸炎をひきおこしかねません。そのため悪い細菌であれば速やかに排除する手段を講じなくてはなりません。

蟻地獄のように細菌を取り込むパイエル板

 その重要な任務の要となっているのが「パイエル板」です。パイエル板には細菌をつかまえる「M細胞」という細胞があります。M細胞が細菌を捕まえると、蟻地獄のように細菌や異物を引きずり込みます。M細胞によって取り込まれると、樹状細胞という免疫の司令塔がそれを食べ、「悪い細菌か善い細菌か」の判断を下します。

パイエル板におけるM細胞による細菌の取り込みと樹状細胞 グリーンポプリ
パイエル板におけるM細胞による細菌の取り込みと樹状細胞 グリーンポプリ

 もし悪い細菌であれば、次回同じ細菌が侵入してきた際に素早く対処できるよう、実行部隊である免疫細胞に命令をくだします。この実行部隊には、抗体という武器をつくるタイプの免疫細胞や、直接食べたり殺傷するタイプの免疫細胞がいます。しかもこの情報は腸にいる他の免疫細胞にも教育されて、学習した免疫細胞が血流にのって全身を巡るので、まるで「指名手配犯」のようになるのです。

免疫反応は種類により人により異なる

 パイエル板に細菌が入ってきた時の免疫細胞の反応は、菌の種類によって異なります。赤痢菌のように感染したり悪い反応をおこす細菌がいる一方で、乳酸菌のように人間にとって良い反応がおこる細菌もいます。ヨーグルトには様々な種類の乳酸菌が使用されています。菌によって反応が異なるため、各社が人にとって良い反応をしてくれる乳酸菌を探しているということです。その反応に応じて「リスクに備える乳酸菌」とか「免疫の司令塔を活性化する」など様々なキャッチコピーがつけられているのです。ただしその反応は人によって異なりますので、誰にでも同じ反応があるとは限らない点にご注意ください。