食材は大まかに陰性と陽性の食品に分けることができます。陰性と陽性というのは何も食材だけには限らず私達自身も、陰性タイプと陽性タイプに分けることができます。そうしたなかで陰性タイプの方はできるだけ陽性の食品を、陽性タイプの方はできるだけ陰性タイプの食品を摂ることによって、体の陰陽バランスを中庸に持ってゆくことが食養生の目的です。
食材は陰性タイプの食品と陽性タイプの食品とに分けることができますが、この考え方には(1)中国医学・中国薬膳によるもの、(2)マクロビオティック、玄米菜食、東洋医学によるものと、2通りの考え方があることを頭に入れておいてください。でないと同じ食材でも陰陽が全く逆になってしまいます。同じ生姜でも中国医学・中国薬膳的には陽性の食材で、マクロビオティックの考え方に拠ると陰性ということになります。「一体どちらが正しいんだ。」という詳細はまた後日に述べさせていただくことといたしまして、私自身が使用しているの陰陽は(1)中国医学・中国薬膳に拠るものです。マクロビオティックではございませんので、混同なされないでください。
陰性の食材というのは、下げる効果があります。ですから血圧を下げるとか、炎症を鎮めるとか、血液の炎症をとるとか、おしっこや便の排出を促したり、体温を下げたりします。ただでさえ体温が低い冷え性の方がこのような食材ばかりを食べていると、より一層血圧は下がって、身体が冷えてしまうのです。
逆に陽性の食材は、上げる効果があるのです。血行を促進して、血圧も適度に上げ、体温も上げ、発汗させたりします。これは冷え症の方にはよいですが、筋骨たくましく、高血圧で赤ら顔で体温が高い方がこのような食品ばかりをとっていたらよくないですね。むしろこのような方たちは陰性の食品を摂って、熱を取り去ってあげないといけないのです。
であれば冷え性方は陰性の食品を完全に避けて、陽性の食品だけを食べればよいのでしょうか。いいえそれは違います。陰陽バランスを考えて食べて、割合的に陽性の食材のほうが多いという感じで食べていただくことが望ましいです。陰陽のどちらか一方だけの食材では、食べられる食材は半分になってしまいますね。それは栄養的にはどうでしょう。気持ち的にも良くないです。胃腸というのは自律神経の働きに左右されますから、「まずいな、嫌いだな。」と思いながら食べると胃腸の働きがストップしてしまうのです。また人の身体の陰陽はたえず変化しています。特に季節によって変化しています。夏は誰でも体内の陽のエネルギーが最大になるのです。ですから夏場はある程度、陰性の食べ物で過剰な陽のエネルギーを抜いてあげなくてはならないのです。
また薬には飲みすぎると副作用があります。食材でも同じです。要はその作用が激しいか、緩慢かの違いだけであって、陽(温、熱)の食材ばかりを長期間過剰に食べ続けていると、当然体内には有り余る陽のエネルギーが溜まってしまうことになります。陰陽のバランスをとって中庸に近づけてゆくことが、中国医学です。陰陽のバランスで、陽ばかりが過剰になってしまったらそれがまた別の悪さをしてしまいます。
全体的な食材の中で、陰陽両方摂るものの、陽性食品のほうが多めというバランスをこころがけてください。また同じ陽性食品のなかでも、陽性度の緩やかな温性と、陽性度の高い熱性の食品とがあります。熱性の食材というのはトウガラシのようにいわゆる香辛料と呼ばれるものになるのですが、体を温める作用も激しく、発汗させて逆に体温を下げたりしますのでほどほどにしてください。特に虚弱者にはよくありません。