健康食品は純度100%であればありがたいですが、残念ながら多くは「賦形剤」で薄められています。そのため原材料表示に気を配ることが大切になります。
健康食品を語るときに「賦形剤」は「増量剤」ともいわれ、どちらかというと悪者扱いされることのほうが多いと思います。
「賦形剤」というのは成分を増量したり希釈する目的で使用する成分です。安価で味に支障がないものが使用されます。乳糖や結晶セルロース、デンプン(デキストリン)などがよく使用されます。
「賦形剤」というのは本来は必要な成分であって、悪者ではありません。その点は強調したいところです。以下のようにどうしても入れないといけない場合があります。
例えばクルクミンという成分を50mg含有したウコンを100mg使用して、粒状の健康食品を造るとします。
1粒の重量は250mgにしたいとします。
そうした場合ウコンが100mgですからあと150mg足りませんね。
そこで足りない分を、結晶セルロースやデンプンなどで補うのです。
これはもちろん量が足りないからという意味合いもありますが、ウコンという素材は精油成分が豊富で油が多いとどんなに頑張って押し固めてもくっつかないのです。そのためオリゴ糖など粘性があって糊の役割をするような成分を入れる場合もあるんですね。入れないと固まらないのです。それで私は過去に大失敗したことがあります(後述させていただきますが)。
例えば「グレープフルーツ果汁末」を例に挙げます。果汁は液体ですが、どうしても粉末や粒状にしたいとします。液体をそのまま乾燥させたら何も残りません。そのためデキストリンやサイクロデキストリンが多いですが、それに果汁を吹き付けて乾燥させます。そうしたらフレープフルーツ味のデキストリン粉が出来上がります。この場合最低でも1:1以上の比率で吹き付けます。そのため50%以上はデキストリンということになります。
以上、「賦形剤」というのは必要な成分であって、決して悪者ではないんです。
ただ問題なのは、悪者扱いされてしまう理由は、賦形剤をただ単なるコストダウンのために、かさ増しすることだけを目的に使用する人がいるからです。というのも賦形剤として使用される原料はいずれも安価な素材ばかりです(量を調整するだけの成分ですから安価でないと意味がない)。賦形剤の含有量を増やせば増やすほどコストダウンにつながります。
ネットを見ると「健康食品を飲んでも何にも感じられない。」というコメントをよく見かけますが、それはおそらくその商品は賦形剤の含有量が多いということが一因にあるかもしれません。
例えば商品名としては同じ「~酵素」であるにも関わらず、
¥7,000円の商品もあれば、¥1,000の商品もあるわけです。
¥7,000円の商品と¥1,000の商品は同じ商品でしょうか?
¥1,000の商品は企業努力をしていてとても良心的だから安価で売っている?
そんな訳はありません。
これこそ「賦形剤によるトリック」です。
先ほどウコンを100mgで賦形剤を150mgで合計250mgの粒を造る例を挙げましたね。
それと同じで全体量が250mgだとしても、その内「植物酵素」が何mg入っているかが問題なのです。
粒タイプの商品であれば確実に
「デキストリン、デンプン、乳糖、結晶セルロース、ショ糖エステル、脂肪酸エステル」などが入ってきちゃいますし、
ソフトカプセルタイプであれば
「サフラワー油、こめ油、オリーブ油、グリセリン、ミツロウ」などが入ってきます。
原材料中で、植物酵素の量はそこそこで、サフラワー油やグリセリン、ミツロウなどが過半数ということもありうるわけです。
そのため私たちができることとしたら、あまりにも安すぎる商品には気を付けるか、安心のお店で購入するか、原材料表示の仕方を勉強することくらいしかないと思います。